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東京ガス 反社会的勢力への供給停止

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はじめに

 東京ガスは同社のHPにおいて、反社会的勢力とは取引関係を一切持たないことを発表しました。

事案の概要

 政府においては、平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が取りまとめられ、平成22年12月には、同指針を受ける形で「企業活動からの暴力団排除の取組について」が取りまとめられました。このような取組を実践する企業が増加傾向にあります。例えば、銀行やゴルフ場の利用など、幅広い業種で反社会的勢力の関係者はサービスを利用できないとする反社会的勢力排除約款が利用されています。もっとも、大規模なインフラ企業が反社会的勢力排除約款を利用するケースは珍しく、反社会的勢力の構成員とその家族の生活が今後危ぶまれることとなりました。

東京ガスの発表内容

 今後、取引相手が反社会的勢力の関係者であると判明した場合に通知又は催告等何らの手続きを要しないで直ちにガス需給契約を解除できるという内容の約款を設けるとのことです。実際に反社会的勢力の関係者であると判明した場合にガス需給契約を直ちに解除するかどうかは分かりませんが、かなり厳しい内容の約款であるといえるでしょう。

生存権との兼ね合い

 ガスはライフラインとしても機能するものであり、ガスを直ちに止められることによって、生活がままならなくなることは明白であるといえます。そのため、憲法に規定されている「生存権」を不当に侵害し違憲ではないかとの声も上がるかもしれません。しかし、暴力団対策法が存在しており、反社会的勢力の関係者に対する企業による規制が正当化され、反社会的勢力への締め付けが憲法違反にはならないとの判断が下されるのではないかと思われます。

コメント

 反社会的勢力との取引関係を一切排除すると明言している企業は当然、企業倫理の遵守が徹底されていると評価されるでしょう。そして、企業倫理の遵守は企業の社会的評価を高める上で重要であることは言うまでもありません。そのため、社会的評価を高めるために、反社会的勢力との取引関係を排除しようとする企業は今後も増えていくことでしょう。企業法務従事者としては、企業イメージ向上のために経営判断として反社会的勢力を取引相手から排除するとの判断が下された場合に、暴力団対策法等の法律を理解しておくことで法的に問題があるか、簡潔に答えられるようにしておきましょう。

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