はじめに
通勤時間その他のちょっとした隙間時間にスマホゲームに興じる人も多いのではないでしょうか?スマホゲームの中でも高い人気を誇る「ウマ娘 プリティーダービー」を巡り、裁判が始まろうとしています。 「ウマ娘 プリティーダービー」を運営・開発する株式会社Cygamesは、5月17日、同ゲームのゲームシステムおよび一部プログラムの特許権をめぐり、株式会社コナミデジタルエンタテインメントから2023年3月31日付で訴訟の提起を受けた旨を発表しました。訴訟までの経緯
「ウマ娘 プリティーダービー」は株式会社Cygames(サイゲームス)が提供するスマートフォン向けのゲームアプリで、「ウマ娘」として知られています。競馬の競走馬を擬人化したキャラクター「ウマ娘」を育成してレース勝利を目指すストーリー。 2021年2月の配信開始後、わずか3カ月で700万ダウンロードを突破するなど高い人気を誇り、特に20代、30代の男性から支持があるとされています。 この「ウマ娘」に関し、Cygames はコナミデジタルエンタテインメントと同ゲームのゲームシステムおよびプログラムの一部について、特許権等の協議を行って来たものの協議は決裂。コナミデジタルエンタテインメント側が東京地裁に訴訟提起を行うに至ったとのことです。 今回の訴訟でコナミデジタルエンタテインメント側はCygamesに対し、特許権侵害に基づく損害賠償40億円と遅延損害金、そして、「ウマ娘プリティーダービー」の生産・使用・電気通信回線を通じた提供等の差し止めを求めているといいます。 訴状を受け、Cygamesの親会社である株式会社サイバーエージェントは『「ウマ娘」がコナミの特許権を侵害している事実は無いものと考えており、その正当性を本件訴訟にかかる手続きの中で明らかにしてまいります。』とコメントを発表。今後も引き続き、ゲームの提供を行うとしています。 なお、現時点で、どの特許が争点となっているかは明らかにされていません。任天堂・コロプラ訴訟
ゲームの特許権をめぐっては、任天堂株式会社が、スマホゲーム「白猫プロジェクト」の5件の特許侵害をめぐり、ゲームの運営会社である株式会社コロプラを提訴した事例が有名です。 「白猫プロジェクト」は、プレイヤーキャラクターを動かしながら戦うアクションRPGゲームで、日本以外にも韓国、香港、台湾などでも配信されています。2020年には総プレイユーザー2億を超える人気ゲームとなっていましたが、任天堂側は、同ゲームのゲームプログラム等が任天堂の特許権を侵害しているとして、44億円の損害賠償とゲームの差し止めなどを求めて提訴しました。 コロプラ側も争う姿勢を見せたことから、訴訟は長期化。報道などによりますと、2021年4月には任天堂は時間経過を理由として賠償額を96億9900万円に引き上げました。 しかし、その後コロプラは任天堂との和解を発表し、コロプラが任天堂に対し和解金(今後のライセンスを含む)として総額33億円を支払い、任天堂が訴えを取り下げています。
■問題となった特許 (1)自キャラを操作して敵キャラに近づく際、その距離が十分に近い状態でタッチスクリーンから指やペンを離した時に、敵キャラに自動的に攻撃等を行う操作 (2)スリープモードからの復帰時に、一度確認画面を表示し、確認を押させてからゲーム画面に戻る機能(予期せぬスリーブ解除からの意図しないゲーム再開を防止する) (3)通信ゲームにおいて、相互に登録済のユーザーとのみゲームを行えるという制限機能 (4)自キャラが物体の影に隠れた際に、影に隠れている旨の目印を表示するプログラム (5)画面をタッチする等により基準となる座標が設定され、その後にドラッグすることで、仮想的なジョイスティック操作ができる機能 |