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19人が食中毒の伊豆の旅館に営業禁止命令/食中毒発生時の事業者対応

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はじめに

10月中旬、静岡県伊豆市の旅館で食中毒が発生しました。食事をした19人に腹痛や発熱などの症状があり、県は食中毒と断定しました。県は、旅館に対して営業禁止を命じています。
 

旅館で食中毒 営業禁止命令

静岡県などによりますと、10月6日に静岡県伊豆市の旅館で食事をした14グループ・30人のうち、11グループ・19人が翌7日の正午ごろから下痢や腹痛、発熱などの症状を訴えたということです。 19人はいずれも、夕食として、合鴨ロース煮、炙り秋鯖香梅寿司、刺身、蕪すり流し、寄せ鍋、鰻蒲焼、金目鯛木野子射込、秋刀魚炊込御飯、渋皮栗ムースなどを食べていました。このうち1人が入院しましたが、全員快方に向かったということです。 保健所は調査の結果、患者の便からサルモネラ属菌が検出されたと発表しました。また、患者を診察した医師から食中毒の届出がされたことから、県は旅館が調理した料理を原因とする食中毒と断定。調理部門に対し、10月16日から当分の間、営業禁止命令を出しました。
 

食中毒発生に備えることが重要

食中毒は主に細菌やウイルスによって引き起こされると言われています。例えば、細菌の場合には多少の温度や湿度などの変化でも食べ物の中で増殖し、食中毒を引き起こします。 また、ウイルスは低温や乾燥した環境中で長く生存すると言われ、食べ物を通じて体内に入り、腸管内で増殖して食中毒を引き起こします。 旅館以外にも飲食店の経営などでは食中毒が発生しないように細心の注意を払わなければなりませんが、細菌もウイルスも肉眼で見ることができません。そのため、予期せず食中毒を引き起こしてしまうという事態もあるかもしれません。 そこで事業者として平時から、万が一、食中毒が発生した際の対応を考えておくことが重要です。
 

食中毒発生時の顧客への対応

会社や利用店舗などに顧客から食中毒かもしれない、といった連絡があった場合、まずは以下の内容をヒアリングすることが求められます。 ・氏名 ・連絡先 ・来店日時 ・来店場所(複数店舗ある場合) ・食事をしたメニュー ・症状について(時期、内容) ・一緒に来店した人がいる場合に、その人らにも症状があるか また、顧客らが医療機関で食中毒であると診断されると、自治体などによる調査が開始されます。そのため、連絡をしてきた顧客には最寄りの病院などで受診をするように伝えることが重要です。 食中毒と診断された場合、保健所が食中毒の発生した店舗を調査します。事業者は顧客からヒアリングした内容を保健所に伝えるとともに、従業員などに体調不良者がいないか確認し報告しましょう。 その他、調理マニュアルや衛生管理の方法、食材の仕入れ先の書類の提出をする必要もあります。
 

従業員への休業手当の対応も必要に

営業停止を受けて休業することになった場合には、従業員へ休業手当を支払う必要があります。 労働基準法では休業の理由が会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)、平均賃金の6割以上の額の手当を支払わなければならないと定められています(労基法第26条)。 会社側の都合とは、計画停電や天災事変のような“不可抗力”を除くすべての場合のことで、使用者側に起因する経営上の障害も、会社側の都合に該当します。 ・材料が届かないため休業 ・資金難による休業 ・一部労働者がストライキを起こしたため、他の労働者を働かせなかった場合 このように、実際には働けたが会社側の都合で働けなくなった、休まなければならなかった場合に給与を補填する義務があるため、注意が必要です。
 

コメント

細菌・寄生虫・自然毒など、意外にも秋は食中毒が多いシーズンといわれています。 食中毒が発生した場合、行政処分を受けるにとどまらず、食中毒となった客から損害賠償請求されるリスクもあります。その場合、治療費・入院や通院の交通費・慰謝料・欠勤時の休業補償などを請求される可能性があります。 そのため、食中毒の規模が拡大した場合、金銭面での負担も小さくないものとなるおそれがあります。 何より、食中毒の予防は、食事の提供をする宿泊業や飲食店において、衛生管理がしっかり行われていることを示すものであります。日頃から、食中毒予防のため、衛生面での対策をしっかり取ることが大切です。
 

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