はじめに
職場において過重な業務上の負担や人間関係をきっかけにうつ病となる社員が発生することがあります。この場合の手続について、社内対応を進めるにあたって有益と思われる情報をまとめましたのでご参照ください。
うつ病を理解する
うつ病は気分障害の一種であり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の低下、焦燥(しょうそう)、食欲低下、不眠、持続する悲しみ・不安などを特徴とした精神障害と定義されています。
うつ病の原因はまだよくわかっていませんが、脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなるのと同時に、ストレスやからだの病気、環境の変化など、さまざまな要因が重なって発病すると考えられています。
株式会社ファイザー
さいたま県志木市の社会保険労務士事務所 なかお事務所
医師の検査結果を踏まえた当該社員のヒヤリング
今後の対応を決定する上で、参考となる情報が記載されています。
参照 株式会社iCARE
対応の検討
病状をみながら①勤務時間や勤務日数を減らす、②休職の上で、復職の方針で療養の期間を確保する、③退職の方針で手続を勧めるなどの方法が考えられます。
その際の基準を就業規則で定めておかなければ、後日の紛争に発展する場合もあるため、休職、退職の基準を明確に定めておく必要があると考えられます。
従業員を解雇する場合の留意点で参考になるのは以下の通りです。
参照 弊社サイト企業法務ナビ
就業規則の具体的な内容として、下記のサイトは参考となります。
社会保険労務士・行政書士 ふくした事務所
うつ病で復職見込みのない場合の対応
参照 咲くやこの花法律事務所
傷病手当ての受給手続
休職期間中は、無収入となるため、生活補償のために傷病手当の受給手続を受けることになります。
田井中労務行政事務所
受給手続の細かい流れは下記のサイトが参考となります。
傷病手当ての受給期間は1年6か月、支給金額は給与の3分の2の金額です。
ビズ部
傷病手相手の提出先は、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」なります。
全国健康保険協会(協会けんぽ)
さいごに
うつ病を理由とした解雇が不当解雇であるとして損害賠償請求が認められた事例もあります。
ある女性労働者が、過重な業務が原因でうつ病となり休職したにもかかわらず、休職期間満了を理由に解雇されたのは不当として、勤務先の会社を解雇無効や安全配慮義務違反で訴えた事例です。
日比谷ステーション法律事務所 法律事務所が運営する労働問題ブログ
訴訟対応発生のリスクを防止するために、休業、退職の基準をあらかじめ明確に定めておくこと、当該社員との話し合いを積み重ね、合意のもので手続を進めていくことが重要であると思われます。