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QAで学ぶ契約書作成審査の基礎第35回ソフトウェア開発委託契約:仕様確定支援業務

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第34回からソフトウェア開発委託基本契約について具体的な条項を提示した上解説しています。[1] 今回は、以下目次のQ4~Q9の定義及び仕様確定支援業務に関する規定例を提示しその内容を解説します。
  【目  次】 Q1:本契約で対象とするソフトウェア開発委託 Q2:契約名称・前文 Q3:目的及び個別契約 (以上第34回Q4:定 義 Q5:仕様確定支援業務(準委任業務)の個別契約例 Q6:仕様確定支援業務の実施 Q7:仕様確定支援業務に係る業務終了報告書の提出・確認 Q8:仕様確定支援業務に係る委託料及び費用負担 Q9:仕様の確定 (以上今回第35回) Q10:開発請負業務(請負業務)の個別契約例 (以下は次回以降) Q11:開発請負業務の実施 Q12:本件ソフトウェアその他納入物の納入・検収 Q13:開発請負業務に係る委託料及び費用負担 Q14:契約不適合責任 Q15:仕様の変更 Q16:再委託 Q17:業務責任者及び業務従事者 Q18:協 議 Q19:納入物等の所有権及び危険負担 Q20:納入物等の特許権等 Q21:納入物等の著作権 Q22:知的財産権の侵害に対する責任 Q23:個人情報の取扱い Q24:秘密保持並びに資料等の利用目的及び返還 Q25:解除及び期限の利益喪失 Q26:反社会的勢力の排除 Q27:損害賠償 Q28:その他一般条項 Q29:契約書末尾

本稿のPDF/Wordはこちらから

Q4:定 義

A4:以下に規定例を示します。なお、以下、契約規定例中に、強調又は解説の便宜上、下線を引いている箇所があります。
 

第2条 (定義)

本契約において、以下の各用語はそれぞれ以下の意味を有するものとする。

(1)      「要件定義書」とは、本件ソフトウェアの機能要件(甲の要求を満足するために、ソフトウェアが実現しなければならない機能に係る要件。システム機能及びデータにより定義される)及び非機能要件(機能要件以外の全ての要素に係る要件。業務内容及びソフトウェアの機能と直接的な関連性を有さない本件ソフトウェアの動作環境・条件、品質要件、技術要件、移行要件、運用要件、セキュリティ要件及び付帯作業等から成り、それぞれに対する目標値及び具体的事項により定義される)をとりまとめた文書を意味する。

(2)      「外部設計書」とは、要件定義書に基づき本件ソフトウェアの画面、帳票等のユーザインターフェース、他システムとの通信やデータ入出力等のインターフェース等、本件ソフトウェアの入出力全般に関する仕様を定めた設計書を意味する。

(3)      「仕様」とは、要件定義書(又は要件定義書の要素の全部及び外部設計書の要素の一部若しくは全部を含むもの)であって、それに基づき、乙が、本件ソフトウェアの開発、及び開発費用・請負金額、開発期間・納期等の見積もり・予想が相当程度可能となるものであって、仕様確定支援業務においては同業務の結果甲が確定するもの、開発請負業務においては甲乙合意の上個別契約において記載・特定するものを意味する。

(4)      「納入物」とは、開発請負業務において、乙が開発し甲に納入すべき本件ソフトウェア(コンピュータプログラム)、及びこれに関連するドキュメント、データベースその他のものを意味する。

(5)      「納入物等」とは納入物、及び仕様確定支援業務において乙が作成し甲に納入する仕様の案その他のものを意味する。

【解 説】

本条では本契約で使用する用語を定義しています。「要件定義書」及び「外部設計書」の定義は、ほぼ、「モデル契約」(経産省・IPA(情報処理推進機構)発行)の定義に従っています。 「要件定義書」の定義では、「システム開発の失敗例の多くは要件定義の失敗にあり......システム開発の失敗事例では、要件定義で、性能のセキュリティなど非機能要件を漏らしている例があ(る)」と言われている[2]ことから、非機能要件を含むことを明確化しています。 「モデル契約」の「要件定義書」の定義には明記されていないものの、本契約では、「要件定義書」及びそれを含む「仕様」の中に「本件ソフトウェアの動作環境・条件」が含まれることを明確化するために、「要件定義書」の定義にその旨明記しています。これは、本契約(第8条第2項)では、「納入物が個別契約に定める仕様に適合するか否か(以下、適合することを「契約適合」、適合しないことを「契約不適合」という)」としており、本件ソフトウェアの契約適合・契約不適合は、あくまで、仕様に定める動作環境・条件(例:必要なOS、ハードウェア・その性能、ネットワーク・その通信速度、最大処理データ量等の条件・制限)のもとで仕様に定める機能・非常機能要件に適合しているか否かが問題とされることを明確化するものです。 なお、「モデル契約」では、上記以外にも、中間資料/第三者ソフトウェア/FOSS/要件定義書/外部設計/内部設計/システム結合/システムテスト/導入・受入支援/運用テスト/セキュリティの各用語を定義しています。そして、下線部分の用語については、「モデル契約」では、IPA発行「共通フレーム2013」[3]に準拠し、各用語を「共通フレーム2013の○○○○に相当するもの」のように定義しています。 しかし、本契約では、必ずしもこれらの用語・定義を使用する必要がないこと、「非専門的ユーザ」並びに両当事者で契約の作成・審査する法務担当者にとっては共通フレームの内容は専門的でなじみがないと思われ、また、その用語の意味の確認のためにわざわざ共通フレームを参照する必要があること等からこれらの用語の定義は置いていません。

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Q5:仕様確定支援業務(準委任業務)の個別契約例

A5:本契約(1条)では、仕様確定支援業務について、本契約に基づき個別契約を締結することになっていますが、以下にその個別契約の規定例を示します。
 

○○○システムソフトウェア開発委託基本契約書に基づく

仕様確定支援業務に関する個別契約書

 

○○○○(以下「甲」という)及び○○○○(以下「乙」という)は、甲乙間で○○年○○月○○日付け締結した「○○○システムソフトウェア開発委託基本契約書」(以下「基本契約」という)に基づき、甲から乙への本件ソフトウェアの仕様確定支援業務(「本件業務」)の委託(準委任)に関する個別契約(以下「本個別契約」という)を次の通り締結する。なお、本個別契約で用いる用語の意味は基本契約と同じとする。

1.     本件業務の内容及び範囲:[本件業務の内容・範囲について疑義が生じないよう具体的かつ明確に記載すること]

(1)      (例)「甲による本件ソフトウェアの仕様の確定に対する支援業務(調査、分析、整理、提案及び助言等)」

(2)      (例)「甲の指定する、仕様の一部又は全部の案の作成代行(但し仕様の最終確定は甲の責任とする)」

(3)      ......

本件業務の範囲外の事項:[特に疑義が生じ易い事項等に関し記載すること]

2.     本件業務の実施条件

(1)      本件業務の実施期間及び当該期間中における作業日時・作業項目、並びに当該実施期間の延長その他の変更について定める場合にはその手続:(例)「本件業務は、別紙1「実施スケジュール表」に定める実施期間、実施日時、作業項目その他の条件に従い実施する。但し、当該実施期間満了日の1週間前までに甲が乙にその旨書面で通知した場合には、甲乙書面で合意した実施期間、作業日時・作業項目、委託料その他の条件で延長するものとし、以後も同様とする。」

(2)      本件業務の実施場所・実施方法:(例1)「別紙1「実施スケジュール表」に定める通りとする。」. (例2)「甲の事務所での支援、関係者出席会議での支援、ビデオ会議による支援、電子メール交換による支援等のうち、甲が随時指定する。」

(3)      本件業務に関し、甲が行うべき情報・資料・機器・場所等の提供、その他甲が実施又は協力すべき事項:(例1)「甲は、本個別契約締結日後5営業日以内に、乙に対し、甲のシステム化の方向性、システム化計画、その他本件ソフトウェアに係る甲のニーズ、要望、課題、予算等に関し甲が作成済みで乙に提出することが適切と判断する資料[又は具体的資料名を列記]を貸与するものとする。」

(例2)「甲は、甲施設内に乙の執務場所を設け、乙による本件業務実施期間中、これを必要な事務機器とともに無償で乙に提供するものとする。その詳細条件は別途甲乙協議の上書面で合意する。」

(4)      上記の他、本件業務の実施条件がある場合にはその条件:......

3.     業務終了報告書の報告対象期間、記載内容、提出期限等:

(例)「乙は、毎月の1日から末日までに実施された本件業務について、実施日時・場所、作業項目及び本件業務実施時間数を記載した業務終了報告書を作成し、これを、当該月の翌月5日までに甲に提出するものとする。」

4.     委託料及びその支払期限等の支払条件、並びに委託料の他甲が負担すべき費用及びその負担方法:

(1)      委託料及びその支払期限等の支払条件:(例)「委託料は、1名のシステムエンジニアによる本件業務実施1時間当たり○○円(消費税を除く)を単位とし、これに実際の実施時間数を乗じたものとする。甲は、前月に実施された本件業務の委託料を計算し、業務終了確認月の翌月末日までに当該委託料及びその消費税額を支払うものとする。」

(2)      委託料の他甲が負担すべき費用及びその負担方法:[かかる費用がある場合は、その内容、負担、乙への支払い等の条件を記載すること](例)「乙が甲の要請に基づき東京23区以外の場所で本件業務を実施する場合、甲は、乙がそのために要した交通費及び宿泊料の実費(但し、宿泊料は1名1泊当たり最大〇円を上限とする)を、乙の請求に応じ支払うものとする。」

5.     再委託 [既に甲が承諾している再委託がある場合に必要事項記入]

乙は、以下の業務を以下の再委託先に再委託できるものとする。

(1)      再委託対象業務の内容:......

(2)      再委託先:......

6.     その他の本件業務遂行上必要な事項:

(1)      ......

(2)      ......

以上の通り甲乙合意し本個別契約を締結する。

○○年○○月○○日

(以下省略)

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Q6:仕様確定支援業務の実施

A6:以下に規定例を示します。
 

第2章 仕様確定支援業務

 

第3条 (仕様確定支援業務の実施)

1.      本契約及び個別契約に従い、乙は、仕様確定支援業務を、甲のシステム化の方向性、システム化計画、その他本件ソフトウェアに係る甲のニーズ、要望、課題、予算その他必要な情報を聴取・収集した上、システム開発に関する専門的な知識及び経験に基づき、甲による本件ソフトウェアの仕様の確定が円滑かつ適切に行われるよう、善良な管理者の注意をもって調査、分析、整理、提案及び助言等を行うものとする。

2.      甲は、仕様確定支援業務に関し、甲内部での必要な調整を行った上で、前項に規定する情報を乙に適時かつ適切に提供し、また、個別契約に規定する甲が実施又は協力すべき事項及びその都度乙が要求し合理的に必要と認められる甲による実施又は協力事項を行うものとする。

3.      甲は、仕様確定支援業務において、仕様の一部又は全部の案の作成を乙に委託できるものとするが、その案の承認及び全ての仕様の最終確定は甲の責任において行うものとする。

【解 説】

【第1項】 第34回Q3の通り、仕様確定に関し甲が乙に対し行う業務委託の法的性格は準委任(民法656)と考えるべきで、その場合の乙(ベンダ)の責任については、民法(656条で644条を準用)上、「受任者は、委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」(善管注意義務)とされています。 この点に関し、本契約では、「委任の本旨に従い」を「本契約及び個別契約に従い」とし、「善良な管理者の注意」及び「委任事務」の内容を「…その他必要な情報を聴取・収集し、システム開発に関する専門的な知識及び経験に基づき….調査、分析、整理、提案及び助言等を行う」こととし、乙の善管注意義務をより明確化・具体化しています。 この「提案及び助言等」には、判例等でベンダの「プロジェクト・マネジメント」義務として挙げられている事項(例:ユーザの意思決定が必要な事項等に関し具体的課題・期限を示すこと)[4]も含まれます。 その結果、乙は、仕様確定支援業務について、請負のように仕様の完成責任・契約不適合責任は負わないものの、例えば、確定した仕様に欠陥があり、それが、乙が専門家としての水準を満たさない誤った内容の提案・助言等を行ったこと又は専門家として必要な提案・助言等を怠ったことに起因するものであれば、債務不履行(契約違反)として、損害賠償責任(民法415条)を負うことになります。 【第2項】 乙による仕様確定支援業務は、甲が、甲のシステム化の方向性、システム化計画、その他本件ソフトウェアに係る甲のニーズ、要望、課題、予算その他必要な情報を提供し、その他甲が実施・協力すべき事項を行わなければ、適切・的確に行うことができないので、甲にそれらの提供・実施・協力義務を課しています[5]。 なお、「甲内部での必要な調整を行った上で」とは、ソフトウェア開発では、ユーザ内部の関係者が多く、先ずその内部的意思を統一する必要がある[6]ので、その調整を行った上で、甲のニーズ等の情報提供等を行うべきことを明確化するものです。 甲が上記の実施・協力義務を怠れば、その範囲内で、乙は、上記の損害賠償責任を免除・軽減されることになります。 【第3項】 理屈上は、仕様確定は乙の責任とすべきではあるものの、ソフトウェア開発に適した仕様とするには、システム開発に関する専門的な知識及び経験が必要で、実際には、ベンダがユーザのニーズを聴取等した上で仕様の案の作成をする場合が多いと思われます[7]しかし、その場合でも、その仕様案の承認及び全ての仕様の最終確定は甲の判断と責任で行われるべきであり、本項では、その旨明記しています。

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Q7:仕様確定支援業務に係る業務終了報告書の提出・確認

A7:以下に規定例を示します。

 

第4条 (業務終了報告書の提出及びその確認)

1.      乙は、仕様確定支援業務について、業務の終了に関する報告書(以下「業務終了報告書」という)を、個別契約に規定する報告対象期間、記載内容、提出期限等の条件に従い、甲に提出するものとする。

2.      甲は、業務終了報告書の受領後1週間(但し、個別契約に別段の期間を定めた場合にはその期間)(以下「業務終了確認期間」という)以内に、当該報告書の内容の確認(以下「業務終了確認」という)を行うものとする。

3.      甲は、業務終了確認期間内に、業務終了確認をした場合にはその旨、業務終了報告書の内容に異議がある場合にはその旨及びその具体的理由を、乙に書面で通知するものとする。

4.      乙は、前項の異議の通知を受けた場合には、直ちにその内容を確認するものとする。当該異議に理由がある場合、乙は、業務終了報告書の訂正・再提出等必要な措置をとるものとする。

5.     甲が、第3項に従い、業務終了確認又は異議いずれの通知もしなかった場合には、業務終了確認期間満了時に業務終了確認がなされたものとする。

【解 説】

本契約において、業務終了報告書の提出及びその確認は、次条に定める仕様確定支援業務の委託料の支払いの前提手続として行われます。例えば、委託料を業務実施時間単位で定めている場合には、ユーザは、ベンダから提出された報告書に記載された本件業務実施時間数・実施項目等の内容を確認し、問題なければ、次条に従い委託料の支払いを行います。

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Q8:仕様確定支援業務に係る委託料及び費用負担

A8:以下に規定例を示します。
 

第5条 (仕様確定支援業務に係る委託料及び費用負担)

1.      甲は、個別契約に定める仕様確定支援業務の委託料及びその消費税額を、個別契約に定める支払期限等の支払条件に従い、乙が事前に甲に書面で通知する銀行口座に振り込むことにより支払うものとする。

2.      甲は、個別契約で又は別途甲乙書面で合意し委託料の他甲が負担すべきものとされた費用を、当該合意に従い負担するものとする。

3.      前二項に定める委託料及び費用を除き、乙は、仕様確定支援業務の遂行に要する全ての費用を負担するものとする。

【解 説】

【第1項】 甲は、業務終了確認後、個別契約に定める委託料(時間・日数等単位の単価等の場合はそれに基づき計算された委託料)を、個別契約に定める支払条件に従い支払うものとします。 なお、例えば、ユーザとベンダがソフトウェア開発の元請けと下請けの関係にある場合や、ユーザが本件ソフトウェアの開発能力を有するがベンダにその開発を委託する場合等、下請法の適用がある場合第33回Q5参照)、仕様確定支援業務が情報処理に係る役務提供委託に該当するときは、その役務終了確認日等からではなくその役務受領日から60日(又は2か月)以内に支払期限を定め支払わなければならない下請法2条の2、4条1項2号)[8]ので、1か月ごとの支払いの場合、実務上は、対象業務終了月の翌月末日までに支払いを要することになります。 【第3項】 実態は労働者派遣であるのに、労働者派遣法上の義務・制約を免れるため、請負契約や業務委託契約を締結し偽装することは、一般に「偽装請負」と呼ばれ取締りの対象となります(詳細は第33回Q6参照)。これに該当するか否かは、厚労省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」に基づき、実態に即して判断されますが、本項では、同基準中の「業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること」を考慮し、「偽装請負」と判断されることがないよう、業務遂行費用が原則として乙負担であることを明記しています。

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Q9:仕様の確定

A9:以下に規定例を示します。
 

第6条 (仕様の確定)

1.      仕様は、甲の委託により乙が作成した仕様案を甲が最終の仕様として書面で承認したとき、又は甲が乙に対し、最終の仕様として特定したものを書面で通知したときに確定したものとする。

2.     仕様確定支援業務は、前項の通知があった時に全て終了したものとする。

【解 説】

仕様確定支援業務の最終目的は、甲による仕様の確定ですが、上記では仕様の確定手続を定めています。仕様が確定すれば、この目的は達成したことになるので、その時点で仕様確定支援業務が終了したものとしています。

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今回はここまでです。  

「QAで学ぶ契約書作成/審査の基礎」シリーズ:過去の回

  [9] 【注】 [1] 【本稿作成上モデル契約以外で主に参考とした資料】(1)西本強「ユーザを成功に導くシステム開発契約―クラウドを見据えて〔第2版〕」 2016/7/8、商事法務(以下「西本」). (2)伊藤雅浩・久礼美紀子・高瀬亜富「ITビジネスの契約実務〔第2版〕」 商事法務、2021/10/18(以下「伊藤他」). (3)阿部・井窪・片山法律事務所(編集)「契約書作成の実務と書式- 企業実務家視点の雛形とその解説 第2版」2019/9/24(2021/2/20補訂)(以下「阿部・井窪・片山法律事務所」). (4)上村哲史、田中浩之、辰野嘉則「ソフトウェア開発委託契約 交渉過程からみえるレビューのポイント」2021/7/22、中央経済社(以下「上村他」). (5)愛知県弁護士会 研修センター運営委員会 法律研究部 契約審査チーム(編集)「新民法対応 契約審査手続マニュアル」 2018/3/5、新日本法規出版(以下「愛知県弁護士会」という). (6)大阪弁護士会民法改正問題特別委員会(編集)「実務家のための逐条解説 新債権法」 2021/10/13、有斐閣(以下「逐条」という).(7) 池田聡「システム開発 受託契約の教科書」2018/1/17, 翔泳社(以下「池田」). (8)難波修一,中谷浩一,松尾剛行「裁判例から考えるシステム開発紛争の法律実務」2017/2/27、商事法務(以下「難波他」) [2] 【非機能要件の規定漏れ】「池田」(契約書例1-2-(1)) [3] 【「共通フレーム2013」】 ソフトウェア取引に関するガイドラインで、ソフトウェアの構想・設計から開発、導入、運用、保守、破棄に到るまでの各工程について、個々の作業内容、用語の意味等の標準的なモデルを示したもの。IPAのこちらのサイトで紹介されている。 [4] 【ベンダのプロジェクト・マネジメント義務】「難波他」p.98-100 [5] 【ユーザの実施・協力義務】「難波他」p.108には、「ジャコス事件」判決の内容に関し、「......ユーザは、......ベンダーに対して、ユーザの要求仕様を確定するのに必要な情報を明確に提示(する等の)協力義務を果たしたものとは認め難い.....」と記載されている。 [6] 【ユーザの内部意思の統一等】「難波他」p.109では、スルガ銀行事件控訴審判決等で裁判所が認めたユーザの協力義務の一つとして、「ユーザが、内部の意見調整を適切に行って見解を統一した上で、どのような機能を要望するのかを適時明確にベンダーに伝えること」が挙げられている。 [7]ベンダによる仕様の案の作成】 「西本」(p.153)も、要件定義を原則的には準委任で行うことを前提としつつ、「要件定義書をユーザが本当に作成したとしたら、必要な品質を確保することは極めて困難であり、......ユーザとしては、要件定義書の作成はベンダの支援業務に含まれることを契約書上も明らかにすべきである」と記載している。 [8] 【下請法の提供がある場合の支払期限】下請取引適正化推進講習会テキスト」p. 45等参照 [9]

【免責条項】

本コラムは筆者の経験にもとづく私見を含むものです。本コラムに関連し発生し得る一切の損害等について当社および筆者は責任を負いません。実際の業務においては, 自己責任の下, 必要に応じ適宜弁護士のアドバイスを仰ぐ等してご対応ください。  
 

【筆者プロフィール】

浅井 敏雄  (あさい としお)

企業法務関連の研究を行うUniLaw企業法務研究所代表/一般社団法人GBL研究所理事

1978年東北大学法学部卒業。1978年から2017年8月まで企業法務に従事。法務・知的財産部門の責任者を米系(IT関連)・日本(データ関連)・仏系(ブランド関連)の三社で歴任。元弁理士(現在は非登録)。2003年Temple University Law School (東京校) Certificate of American Law Study取得。GBL研究所理事, 国際商事研究学会会員, 国際取引法学会会員, IAPP  (International Association of Privacy Professionals) 会員, CIPP/E  (Certified Information Privacy Professional/Europe)

【発表論文・書籍一覧】

https://www.theunilaw2.com/

 

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