はじめに
改正道路交通法が今年4月1日から施行され、特定自動運行レベル4が解禁となる予定です。一定の条件下で自動運行装置を使用した自動運行が可能となります。今回は改正道路交通法の自動運行について見ていきます。
改正道路交通法の概要
近年自動運転の技術は交通事故の削減や渋滞の緩和に有効なものと考えられてきており、また令和3年11月に閣議決定されたコロナ克服のための経済対策でも遠隔操作のみの無人自動運行サービスの実現に向けた制度整備や自動運転のさらなる推進を図る必要性が確認されました。そこで令和4年改正法では「特定自動運行」と「遠隔操作型小型車」について法整備がなされております。まずレベル4に相当する特定自動運行の許可制が創設されます。これは運転者がいない状態での自動運転で、遠隔監視装置の設置や遠隔監視者の配置などを要します。そして遠隔操作型小型車については届出制が創設されます。これを主に歩道を走行する自動走行ロボットのことで歩行者と同様の扱いとなるとされます。こちらは事前に都道府県公安委員会に届け出ることとなります。
運転自動化レベル
今回解禁となる特定自動運行はレベル4相当とされております。それではこの自動化レベルとはどのようなものでしょうか。警察庁の資料によりますと、レベル1とレベル2がドライバーが主体となる操縦とされており、レベル1はシステムが前後または左右の車両制御を実施する運転支援を言うとされております。たとえば自動車が追突しそうになった時に自動でブレーキがかかったり、また車線からはみ出さないよう運行するシステムです。レベル2はシステムが前後と左右を制御するもので、高速道路で車線を維持しながら前の自動車に付いて走ったり、遅い自動車をウインカー等の操作を行いつつ自動で追い越すといったものです。レベル3からはシステムが主体となって操縦します。レベル3は特定条件下でのシステムによる自動運転を指します。特定条件とは場所や天候、速度などが一定の場合を言うとされます。そしてレベル4は特定条件下での完全な自動運転となります。さらにレベル5は無条件に常にシステムによる完全自動運転を言うとされております。
遠隔操作型小型車等
遠隔操作小型車とは、車体の大きさが長さ120cm×幅70cm×高さ120cmまでで最高速度が6km/hのものとされます。電動車いす相当とされます。これは都市部などで商品等の自動配送を行うロボットなどが想定されております。通行場所は原則として歩行者と同じ扱いで、歩道や路側帯、道路の右側端を走行することとなります。交通ルールも歩行者と同様で、信号や道路標識等に従い、横断歩道を走行しますが進路は歩行者に譲らなければならないとされます。また同時に特定小型原動機付自転車に関する規定も整備されます。特定小型原動機付自転車とはいわゆる電動キックボード等のことです。これは原動機付自転車と呼ばれますが16歳以上という年齢制限があるだけで運転免許は不要とされます。ただしヘルメット着用が努力義務とされ、原則として車道通行となります。
特定自動運行の許可制度
特定自動運行を実施しようとする者は特定自動運行主任者の配置や運行計画の遵守、運行業務従事者への教育などが義務付けられ、都道府県公安委員会に特定自動運行計画などの申請書を提出します。提出を受けた公安委員会が審査を行い、許可基準を満たしていたら許可が出されます。この際市町村や国交省に意見聴取等がなされます。特定自動運行主任者は遠隔監視装置の作動状態を確認し、交通事故などの発生時には消防機関に通報し、現場措置業務実施者を現場に向かわせ、警察等への報告といった措置が義務付けられます。違反があった場合には都道府県公安委員会は指示や許可取消などの行政処分を行うことができ、事故等があった場合は警察署長による許可の効力の仮停止が出されることとなります。
コメント
今年4月から道路交通法等の改正により自動運行レベル4や遠隔操作型小型車が解禁になります。特定の条件下での無人運行や配送ロボットによる自動配送などが可能となります。これにより新型コロナウイルス感染拡大下での事業活動促進や高齢者の移動の便の向上が図られております。また電動キックボードなどの使用による配送なども可能となる見通しです。ウーバーイーツなどの宅配業務等が拡大しており、これらの新制度によって新たなサービスの進展も期待されます。一方でこれらの導入には許可や届出、運行主任者の配置など一定の義務の発生しており準備とコストも必要となってきます。これらの導入を検討する際には制度やメリット・デメリットも含め検討していくことが重要と言えるでしょう。