はじめに
岸田首相の前秘書官が同性婚をめぐり「見るのも嫌だ」などと発言し更迭されたことを受けて、与野党双方からはLGBTの人たちへの理解を促進するために議員立法の早期成立を求める声が上がり、強まっています。一方で、企業においても、LGBTの社員を支援する取り組みが始まっています。LGBTとは
「LGBT」とはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と出生時の性別が一致しない人)の英単語の頭文字を取った言葉で、性的マイノリティの総称でもあります。また、性的指向が決められない・分からないクエスチョニングなどを含めた「LGBTQ+」と言われることも増えてきました。 このほかにも、SOGI(ソジ)とよばれる性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字をとった言葉もあります。これは特定の性的指向や性自認の人のみを対象とするのではなく、異性愛者を含めたすべての人を含む表現です。 日本には性的マイノリティの人たちが1割ほどいるといわれていて、企業においてもLGBTQ+だと公表する社員も増えてきています。 世間一般での理解が進んでいく一方で、LGBTQ+であることで、自身が職場でいやがらせを受けたり、いやがらせを受けている場面に遭遇したという人も少なくないとされています。実際、職場でLGBT関連のハラスメントを受けたり見聞きしたりした人の割合は22.9%と、5人に1人以上の割合だったということです。
「自分が受けたことがある(LGBT当事者・非当事者問わず)」1.3% 「直接見聞きしたことがある」7.6% 「間接的に聞いたことがある」15.3% 日本労働組合総連合会 LGBTに関する職場の意識調査 |
就業規則の変更
こうしたジェンダーを理由としたハラスメントが起こる背景には、多くの企業において、いまだLGBTQ+に対する社内方針が明らかにされていないことが理由の1つとして挙げられます。 ・ジェンダーに関わるハラスメント行為は許されないこと ・ハラスメント行為者に下される処罰 などを明確に定めることが効果的と言われています。厚生労働省が公表するモデル就業規則では、従業員の服務規律として、性的指向や性自認に関するハラスメントを禁止する規程例を掲載しています。