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原爆連想の画像へのリアクションで「映画 バービー」配給会社の公式SNSが炎上

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Welcome to All ! ツによるPixabayからの画像

はじめに

原爆を連想させる画像のSNS投稿に対し、バービー人形の実写版映画の米国公式SNSアカウントが好意的な返信をしたことで批判の声が上がり、映画配給会社の日本法人が謝罪する事態となりました。
 

原爆連想の画像に「忘れられない夏になる」

問題となったのは、グレタ・ガーウィグ監督の新作映画『バービー』の米国公式SNSアカウント。同映画は、来年2024年にデビュー65周年を迎える世界一有名なファッションドールとも呼ばれる着せ替え人形を映画で実写化したものです。アメリカでは公開から5日間で2億ドル(約280億円)を突破し、女性監督作品のオープニング興行収入記録を塗り替えたといいます。さらに全世界興行収入も5億ドル(約700億円)に到達する勢いで、世界的に注目されている映画です。 8月11日に日本でも公開される予定ですが、その公式X(旧Twitter)に批判が集まっています。発端となったのは、1つのコメントでした。 爆発で炎が燃え上がるシーンを背景に、右手を上げ笑顔の女性と、その女性を担ぐ男性の合成画像とともに投稿されたXの投稿に対して、映画「バービー」のアメリカ公式SNSアカウントが『忘れられない夏になりそうですね』などとコメントを投稿したのです。 投稿に使用されていたのは、バービーが公開された先月21日に同時公開され、原爆の開発を行った物理学者の映画「オッペンハイマー」の登場人物を掛け合わせたミームという加工画像。 「バーベンハイマー」という言葉がアメリカで生まれ、明るくカラフルで慣れ親しんだ人形の映画「バービー」と、核兵器開発に携わった人物の映画「オッペンハイマー」、正反対の雰囲気を持つ映画が同日公開されたことが話題となり、この映画2作品を続けて二本立て映画のように観る人が増えているといいます。その中でファンアートが相次いでSNSを中心に投稿されるようになり、今回バービー公式アカウントが反応したものです。 一連の批判を受け、配給会社の日本法人「ワーナー ブラザース ジャパン」は、SNS上で謝罪。「アメリカ本社の配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、不快な思いをされた方々にはお詫び申し上げます」などとコメントを発表しています。 映画「バービー」のSNS投稿について(映画『バービー』公式Xアカウント)
 

企業と公式SNS

企業の公式SNSをめぐっては、2015年にも、ディズニー・ジャパンの公式Twitterが「なんでもない日おめでとう」と投稿したことが議論をよびました。投稿した日は、長崎市に原爆が投下された8月9日、それも投下から70年目を迎える節目の年でもありました。 内容自体に問題はなくても、投稿する日にちが原因で炎上に繋がるなど、SNS投稿ではさまざまな面で注意が必要です。 企業がSNSを投稿する際に、いわゆる炎上しないために考慮すべき点として以下が挙げられます。 ・ジェンダー、性差別、女性や男性の役割を決めつけるような投稿 ・宗教、民族、思想などの投稿 ・政治に関する投稿 ・ステルスマーケティング ・法律、法令違反 ・社員の誤投稿 ・不快にさせる投稿 公式アカウントの投稿には、炎上によるレピュテーション低下のリスクはもとより、投稿内容によっては、名誉棄損罪や侮辱罪が成立するリスクもあります。その場合、名誉毀損罪で3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金、侮辱罪で1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料と、小さくないダメージを受けるおそれがあります。 また、広告・PRなどを兼ねた投稿で度々問題になるのが、薬機法や景品表示法違反です。以前、日本コカ・コーラのテレビCMで、同社が販売していた飲料水“からだ巡茶”のキャッチコピーを『広末涼子、浄化計画。』としていたところ、東京都から指摘が入ったケースがあります。同商品が清涼飲料水で、特定の効能効果をうたうことは出来ないにも関わらず、「デトックス商品や医薬品などを暗示し、消費者に誤解を与える」ことを問題視されました。こうしたキャッチコピーをSNS投稿で使用した場合、法令違反に問われるおそれがあります。
 

コメント

近年では、広告法務の重要性が認識され、自社の広告が前出の薬機法や景品表示法等に違反しないか、法務部門で管理する企業も増えてきました。しかし、昨今のSNSの影響力・拡散力の拡大にかんがみると、純粋な広告のみならず、SNSの各投稿に対しても、ある程度、法的な視点からのチェックが必要になっているといえます。SNS投稿ガイドラインの策定と周知徹底に法務が関わりつつ、会社として、投稿内容を事前事後にチェックする体制を整備する必要があります。
 

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