はじめに
祭りで通称「大麻グミ」を食べた人が相次いで体調不良を訴え病院に搬送された問題で、厚生労働省は11月22日、同グミから検出された「HHCH(成分)」を指定薬物に追加し、12月2日以降の販売・所持・使用を禁止しました。グミを食べて体調不良に
11月4日に開催された武蔵野はらっぱ祭り。その来場者の一人が配っていたグミ状のものを食べた来場者および出店関係者計6人が体調不良を訴えました。祭りの主催者らが救急車を要請し、6人は病院に運ばれましたが、翌日には全員が退院し、事なきを得ました。 その後、主催者らはグミを配った男性を特定。警察が事情を聞くと、男性は「おいしかったので配った」などと説明したといいます。 その前日である11月3日にも、都内で同じグミを食べた20代の男女4人が病院に搬送されるなど同様の被害は全国各地で報告されており、計20人以上が体調不良を訴えたということです。 事態を重く見た厚生労働省の麻薬取締部は、11月17日、グミを製造したWWE株式会社の販売店などに立ち入り検査を実施。立ち入り検査直後は、成分の特定がなされなかったものの、健康被害を引き起こすおそれがないか結論が出るまで、店舗に対しグミの販売停止命令を出しました。 その後、グミから「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」という成分が特定。販売当時、HHCHは、医薬品医療機器法上の規制薬物に指定されていませんでしたが、大麻に近い成分を含有しており、規制薬物と同様の毒性があるとみられています。 成分特定を受けて、11月22日、厚生労働省は「HHCH」を指定薬物に追加しました。12月2日以降、HHCHおよびこれを含む製品について、医療等の目的を除き、製造・輸入・販売・所持・使用等が禁止されることになります。 厚生労働省は、現在も「HHCH」を含む商品が店舗やネットで販売されているとして、購入しないよう注意を呼びかけています。 危険ドラッグの成分1物質を新たに指定薬物に指定(厚生労働省)指定薬物で規制の動き
“大麻類似の成分”をめぐっては、これまでにも規制の動きがありました。厚生労働省では、合法ハーブなどとして販売される薬物や脱法ドラッグ等に含まれる成分のうち、「幻覚などの作用があり使用により健康被害が生じるおそれのある物質」について“指定薬物”として順次追加しています。2022年には、大麻成分の一部を加工した危険ドラッグ「HHC」が指定されるなど、これまで1300物質以上を指定し規制を行っています。 「指定薬物」とされた薬物は所持するだけでも薬機法違反で犯罪となり、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらが併科されます。
薬機法第76条の4 指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。 |