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日本海テレビ社員、「24時間テレビ」の募金264万円を着服で懲戒解雇

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はじめに

日本テレビ系列、日本海テレビジョン放送株式会社の幹部社員が、会社の売上金など1000万円以上を着服していた問題で、日本海テレビは11月27日付で同幹部社員を懲戒解雇しました。着服したお金の中には、チャリティー番組「24時間テレビ」に寄せられた寄付金264万円が含まれていたとのことです。
 

24時間テレビの寄付金などを着服

11月28日、日本海テレビは、元経営戦略局長の男性(以下「元局長」)が、チャリティー番組「24時間テレビ」で集まった寄付金約264万円を含む、計1118万円を着服していたと発表しました。着服は、2014年6月から2021年3月にかけて合計8回行われていたといいます。 【着服の手口】 ・社内のミスで重複申請された支払いについて、削除するべきだった106万円ほどの支払いを入金したようにデータ改ざん(2015年5月)。 ・次年度で退職する取締役の定期保険に関し、実際には支払いが要らないにも関わらず、支払ったように見せかけるなどの手口で、最終的に自身の口座に入金(2021年2月)。 ・24時間テレビでの募金で集まった寄付金については、募金終了後、金融機関へ運ぶまでの間に本社内で保管していた紙幣などの一部を周囲の目を盗み持ち出し、自分の口座に入金(2014年〜2020年、2023年)。一番多い年には50万円以上を不当に持ち去っていた。 10年に及ぶ着服でしたが、発覚した経緯は自己申告だったといいます。元局長は先月初め、税務調査で資金着服が発覚することを恐れ、自ら申告。その後、社内調査によって寄付金にも手をつけていたことが発覚しました。 調査結果を受け、会社は元局長を11月27日付で懲戒解雇し、その翌日には鳥取県警に被害届を出しています。元局長は、同日、約670万円を返還。あらかじめ返還していた約450万円と合わせて、着服した全額を返還したということです。 元局長は、会社には“着服が気づかれにくい入金”があったため、金を持ち出すことを思いついたとしています。また、着服の理由として、初犯となった2014年当時、親族のためにお金が必要だったと話しているということです。その一方、元局長は、同僚らとの飲み歩きや、スロットに興じていたということで、着服したお金の一部はギャンブルなどにも使われたとみられています。 一連の事態を受けて、日本海テレビは、代表取締役会長の年内辞任を発表した他、社長は3ヶ月分の報酬を返上するとしています。 報道などによりますと、不正についての発表があった翌日、日本海テレビには視聴者から、苦情の電話やメールなどが相次ぎ、幹部社員5人が対応にあたったといいます。「寄付を私的に使うなんてありえない」「24時間テレビの趣旨を踏みにじった行為で残念」といった苦情が、29日の夕方までに電話約150件、メールなどは約100件にのぼったということです。
 

大阪のテレビ局でも不正に金を環流

近しい時期に、大阪のテレビ局でも不正が発覚しています。読売テレビは11月28日、同社に勤めていた制作局の管理職の40代男性元社員が取引先から1383万円を不正に受け取っていたと発表しました。 事の発端は、今年7月、読売テレビが制作する音楽番組『カミオト夜』の経費が毎月の予算を大幅に超過していることが判明したこと。その後の経理局の調査により、元社員が2020年3月から23年6月までの期間、自ら飲食した際の領収書を番組制作会社に渡し、「追加演出費」の名目で読売テレビ側に水増し請求させる手口で合わせて877万円を現金で自身に還流させていたことがわかりました。 さらに、元社員は他にも対価性が不明瞭な費用(プール金、追加撮影費等の名目)を請求して会社に支払わせるなどし、その総額は約506万円にのぼるといいます。元社員は、会社から不正に支出された全額について、今後弁済していくとしていますが、11月28日付で懲戒解雇となっています。 元社員は動機として、「コロナ禍で会社として会食禁止が言い渡されていた中、社外関係者との飲食が重なり、精算に困っていた」と話しているそうです。 会社は、上長や経理局が詳細な確認を怠り、不正行為が見逃されたことを問題視。社員の処分や番組の休止、制作プロダクションとの取引辞退などの対応を行い、再発防止に向けてコンプライアンスの徹底やガバナンスの再構築を行うとしています。
 

コメント

有名チャリティー番組の寄付金の着服とあり、事件は世間を賑わせています。日本海テレビ、読売テレビと、テレビ局で次々と不正が起きた背景として、入出金のチェック体制や管理体制が不十分だったことが指摘されています。特に、労働時間が長くなりがちな職場においては、上長等も仕事に追われ、請求書などのチェックがおろそかになり、不正が見落とされる傾向があります。これを機会に、社内で時間外労働が多い部署などにおける入出金のチェック体制や管理体制を確認してみるとよいかもしれません。
 

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