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まんだらけ前社長が古物営業法違反で書類送検、フリマアプリで身分確認せず買い取りか

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はじめに

オンライン上でフリーマーケットのように物品の売買を行えるフリマアプリ。最近では、古物商を営む会社がフリマアプリを通じて商品の仕入れを行うケースも少なくありません。 そのフリマアプリでの商品買取の際、売主の身分確認を怠ったなどとして、古書店大手・株式会社まんだらけと、前社長の男性が古物営業法違反の疑いで書類送検されました。
 

転売目的でフリマアプリ商品購入か

古書籍や古物店の経営、また自社出版物の編集および販売を行う「まんだらけ」。報道によりますと、まんだらけは、2022年12月から2023年1月にかけて、フリマアプリ「メルカリ」で書籍やおもちゃ7点を買い取る際、出品していた3人の身分確認を行わず、帳簿にも記載しなかった疑いがもたれています。 買い取った商品は、従業員の個人アカウントで購入。その後、商品はまんだらけの倉庫に保管されていたということで、後日、販売する目的だったとみられています。 古物営業法では、盗品売買防止のため、買い取り時に身分証などで売り主の住所・氏名・職業・年齢を確認するよう定められており、インターネットオークションやフリマアプリを使った取引であっても、同様に身分確認が必要とされています。さらに買取記録の帳簿への記載も義務付けられています。 前社長は「フリマアプリ側が身分確認をしているので、まんだらけとして身分確認する必要はないと思っていた」と説明しているということです。 なお、前社長は、今年3月に体調不良を理由として辞任を申し出、取締役会がこれを了承しています。
 

古物営業法とは

業者などから継続的に古物を仕入れて販売する古物営業を行う際には古物商許可が必要です。また、古物商の間で古物の売買・交換をする「市場」を営業する際には、古物市場主許可を受ける必要があります。 警視庁の発表によりますと、昨年末における古物商などの許可件数は48万4178件と前年よりも4万2433件増加しているといいます。この数字からも、企業にとっても個人にとっても、古物営業が身近となっていることがわかります。 その一方、古物を売買する際には、盗品の取引や窃盗などの犯罪防止および被害拡大防止のために、古物営業法に則って取引などを行う必要があります。

「古物」の定義 ・一度使用された物品 ・使用されない物品で使用のために取引されたもの ・これらいずれかの物品に「幾分の手入れ(その物の本来の性質や用途に変化を及ぼさない形で修理などを行うこと)」をしたもの

この法律の目的の一つである、盗品の早期発見や転売目的の窃盗を防ぐために定められているのが、身分確認です。 古物営業法15条には次のように記載されています。

第十五条 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。

また、「仕入れ」を行う場合には、仕入先の身分を確認しなければなりません。 仕入先に支払う代金の総額が1万円未満の場合と、自分で一度売却したものを再度買い受ける場合には、身分確認は不要となりますが、書籍やゲームソフト、CDなどは1万円未満でも確認が必要です。 無許可営業など違反行為が認められると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。 さらに、盗品などの売買防止措置を取っていない場合には、営業停止や許可取り消しなどの行政処分が下される場合もあります。 なお、警視庁が発表した2022年の統計によりますと、古物営業法違反での検挙件数は16件、行政処分件数は781件にのぼったということです。 令和4年中における古物営業・質屋営業の概況(警察庁生活安全局生活安全企画課)
 

コメント

古物営業法をめぐっては、過去にもリサイクルショップのオーナーが摘発されています。また、個人としても、コンサートチケットの転売を行った女性が執行猶予付き判決を受けています。 ネットを介しての古物の売買が身近となった今、古物営業のルールを再確認しておくことが重要です。
 

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