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コンサート遅延は不当表示、観客がマドンナさんを提訴 ー米・ニューヨーク

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はじめに

“クイーン・オブ・ポップ”とも称されるアメリカ人歌手・マドンナさんがアメリカ国内で観客から訴えられていることがわかりました。観客側は、「コンサートの開始が2時間以上遅れたことは、公演開始時間の不当表示だ」として、マドンナさんや興行会社に損害賠償を求めているといいます。 日本国内でも昨年、人気ロックバンドのコンサート座席を巡り、チケット販売会社らが「優良誤認」を指摘され措置命令を受けるなど、国内外でコンサートやイベント運営の在り方が問われ始めています。
 

集団訴訟に至った経緯

報道などによりますと、今回、原告となった2人は、観客らを代表した集団訴訟を提起しているといいます。問題視されているのは、昨年12月に行われたニューヨーク・ボストン・ワシントンでの三つの公演。2人が実際に参加したニューヨーク公演では、午後8時半にコンサートが開演すると宣伝されていたにもかかわらず、実際にマドンナさんがステージに登場したのは午後11時前だったといいます。 そのため、公演終了の時刻が翌午前1時を過ぎてしまい、観客らは、利用できる公共交通機関が限られる中、配車サービスなどで割増の深夜料金を払う等の余分な出費を強いられたとしています。また、この他にも、公演終了時刻の後ろ倒しにより、観客らが翌日の仕事や家事を睡眠時間を削られた中で行わざるをえなかったことも損害として主張しています。 ちなみに、遅延があったのはニューヨークの公演だけではなく、ボストン・ワシントンの公演においても、いずれも2時間以上遅れて開演したとのことです。 原告側は、開演の遅れは契約違反であると主張すると共に、「もし、コンサート開始が午後10時半以降になることを知っていたら、原告や他の観客はチケット購入に同意しなかったはず」として、興行会社において、「マドンナさんが遅刻する可能性が高いにもかかわらず、予定どおりの開演時刻を宣伝して客を欺いた」虚偽広告や不当表示があったとしています。 マドンナさんを巡っては、2019年にもコンサート開演時刻が遅れたことで観客から提訴されていましたが、こちらはすぐに取り下げられています。
 

日本でも優良誤認で措置

日本でも2023年に、有名ロックバンドのコンサートを運営していたイベント会社などが、コンサート座席をめぐり、景品表示法違反(優良誤認)を指摘されています。これは、コンサート座席について措置命令が出された初めてのケースといわれています。 措置命令を受けた3社は、コンサートのチケット販売に携わっており、2022年5月21日・22日の2日間にわたり東京ドームで開催されたコンサートの座席図をオフィシャルサイトなどに掲載していました。 その際、あたかも、「SS席を購入すれば1階アリーナ席」「S席を購入すれば1階スタンド席」「A席を購入すればバルコニー席または2階スタンド席」でコンサートを楽しめるかのように示す表示をしていたといいます。 しかし実際には、SS席を購入しても1階アリーナ席ではなくスタンド席となる場合があったほか、S席を購入しても主に1階スタンド席の後方であったり、2階スタンド席となる場合があったということです。 座席図が、実態を反映したものに差し替えられたのは、コンサート3日前だったといいます。 一連の問題が起きた背景として、3社が、1階アリーナ席についてはSS席用として約3300席分しか確保できなかった中で、1日あたり約7200席分を販売していたことが要因だったと報道されています。実際の1階アリーナ席の倍以上の数のSS席を販売した結果、一部がS席の位置に、S席の一部がA席へとずらすことになったということです。 なお、3社は、座席図の掲載の際、「座席図はイメージとなります」、「ステージや座席レイアウトは予告なく変更になる場合がございますので、あらかじめ了承ください」といった注意書きを記載していました。いわゆる、例外や条件などを記載した“打消し表示”ですが、おそらく、 ・注意書きの文字サイズがかなり小さく、文字色も目立たないグレーだったことから、表示を見落としたチケット購入者が相当数いたと想定されること ・掲載された会場レイアウト図上では、エリアと座席種類が明確に区分されて並記されており、この図を見たチケット購入者が「レイアウト図とは異なるエリアでの観覧を余儀なくされること」を想定するのは困難だったこと などから、優良誤認を回避させるうえで、十分な打消し表示ではなかったと判断されたものと考えられます。 コンサートの提供事業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁)
 

コメント

訴訟大国と呼ばれるアメリカ。今回の訴訟の結果によっては、今後、他のアーティストなどに対しても同様の訴訟がアメリカ中で乱発する可能性もあります。マドンナさんらを巡る訴訟がどのように進んでいくのか、動向が注目されます。
 

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