はじめに
文部科学省は、平成28年3月の就職状況を調査し、大学、短期大学等の全体で就職率が97.5%に達していることを公表しています。これは前年比で0.8ポイントの増加です。この様に就職は学生の売り手市場の様相を呈しており、企業にとっては優秀な新人獲得競争の激化を意味しています。そこで企業にとっては、雇用の視野を少し広げることが有意義になる場合もあるかと思います。今回は事業主向け雇用関係助成金についてまとめてみました。
概要
厚生労働省は、同省のホームページで、「働く意欲のある人たちの安定した雇用の実現を目指して」と題して、全ての人々が、能力を発揮し、安心して働き、安定した生活を送ることができる社会を目指しますと宣言しています。この宣言の具体的な中身として、事業主の方のための雇用関係助成金の制度が整備されています。
参考
小林労務行政総合事務所
具体例
高齢者雇用開発特別奨励金
雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限る。)に対して助成されます(最大70万円程度)。
障害者初回雇用奨励金
障害者雇用の経験のない中小企業(障害者の雇用義務制度の対象となる労働者50~300人の中小企業)が障害者を初めて雇用し、当該雇入れによって法定雇用率を達成する場合に助成するものであり、中小企業における障害者雇用の促進を図ることを目的としています(120万円程度)。
三年以内既卒者等採用定着奨励金
学校等の既卒者や中退者の応募機会の拡大および採用・定着を図るため、既卒者が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を新たに行い、採用後一定期間定着させた事業主に対して奨励金を支給します(最低35万円程度、定着年数人数により増加)。
以上の他にも従業員を新たに雇い入れる場合の助成金が複数用意されています。また、雇用時に限らず、就職後の雇用の安定や従業員の職業能力向上を図る場合など、目的に応じて複数の助成金が用意されています。
おわりに
以上は労働者の雇用の安定を主眼として整備された制度です。しかし、事業者への恩恵があり、労働者の保護が事業者の利益にもつながる仕組みが作られています。各企業がどのような助成金を得られるかは、「雇用関係助成金」検索表が参考になります。
一見面倒に見えますが、助成金は経営難や起業の場合などにも支払われることがあり、知っていて損はないかと思います。この期に是非活用してみて下さい。