はじめに
経済産業省は8月5日、農地法違反(農地転用許可未取得)などが確認された一部の太陽光発電事業者に対して、交付金の支払いを一時停止すると発表しました。停止の対象となったのは、固定価格買い取り制度(FIT)の交付金などです。 農地を別の用地に転用する「農地転用」には、行政への許可申請や届出が必要です。違反すれば刑事罰が科される可能性もあります。太陽光事業342件、20事業者が違反か
経済産業省・資源エネルギー庁は8月5日、農地法違反などが確認されたソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)事業に対して、農林水産省と連携して、FIT(電力会社による固定価格での買取制度)、FIP(再生エネルギーの売電価格に対し一定のプレミアムを上乗せする制度)の交付金の一時停止措置を実施したと発表しました。 ソーラーシェアリングとは、農地に支柱等を立て、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置することにより、農業と発電を両⽴する仕組みです。支柱の基礎部分については、農業以外の用途での使用となるため一時転用許可が必要となります。 また、一時転用許可を取得するには、「下部の農地での営農の適切な継続が確実なこと」等の要件を満たす必要があります。 今回、補助金の一時停止措置を受けたソーラーシェアリング事業は342件、20事業者に上ります。違反として認められたのは以下の内容です。 ①下部農地での営農が適切に継続されていない又は一時転用期間満了後も設備が撤去されないとして、農地転用許可権者から是正勧告や原状回復命令が出され違反転用状態のもの(15件・6事業者) ②FIT認定後3年以内に農地転用許可を受けることが要件とされている事案について、期間内に農地転用許可の取得が行われず、FITの認定要件を欠いているもの(327件・14事業者) 交付金の一時停止措置は2024年4月に施行された改正再エネ特措法で新設されました。関係法令の違反事業者らに対して、早期の是正を促すことが目的です。 一時停止された交付金については、「違反が解消されず認定を取り消された場合、国が徴収できる」とする措置が設けられています。 今年4月2日、森林法の違反状態が明らかな太陽光発電事業9件に対し、初の交付金一次停止措置が実施されましたが、今回がソーラーシェアリング事業に対しての初めての措置となりました。 経済産業省は、違反状態が解消されれば停止していた期間の交付金を支払うということです。農地転用について
耕作の用に供されている土地、いわゆる「農地」。この「農地」への建物建設や、太陽光発電設備の設置、駐車場・資材置場としての利用など、「農地」を農業以外の目的に利用(農地転用)する場合、農地法に基づく許可取得や届出が必要となります(農地法第4条、5条)。
■市街化区域の農地を転用する場合 市街化を推進する地域である「市街化区域」の農地を転用する場合には、各市町村の農業委員会への届出を行い、受理通知書の交付を受けることで農地転用が可能となります。 ■市街化調整区域の農地を転用する場合 市街化を抑制する地域である「市街化調整区域」の農地を転用する場合、原則として、農業委員会を経由しての許可申請が必要です。申請後、都道府県知事からの「許可」を受けることで農地転用が可能となります。 ※対象の農地が4ヘクタールを超える場合は、農林水産大臣との協議も必要。 |