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太陽光事業で4億円着服、業務上横領の罪で会社元代表に懲役6年 -東京地裁

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はじめに

東京地方裁判所は、1月14日、太陽光発電事業のために預かっていた約4億円を横領した罪に問われていたTRIBAY CAPITAL株式会社(以下、「トライベイキャピタル」)の元代表に対し、実刑判決を言い渡しました。 無罪を主張し続けていた弁護側は判決を不服として控訴したということです。
 

他社からの預かり金4億円を自社に不正送金

再生可能エネルギー事業などを手がけるコンサルティング会社、トライベイキャピタル。同社の元代表(45)が、太陽光発電事業のために別の会社から預かっていた4億2000万円を、20日間のうちに3回に分けて無断で自分の会社の口座に不正に送金させたとして業務上横領の罪に問われていました。 会社は2023年1月に東京地検特捜部から家宅捜索を受け、約2ヶ月後の3月に元代表が逮捕されています。逮捕容疑は、「2019年10月4日~同月24日に3回、トライベイキャピタルの借金を返済するため、別会社から預かっていた4億2千万円を自社名義の口座に送金させて横領した疑いがある」というものでした。 ちなみに、太陽光発電事業は兵庫県で進められ、元代表は職務執行者として業務を統括していたということです。
 

“身勝手な犯行”懲役6年の有罪判決

裁判では、検察側が冒頭陳述で、元代表が発電事業の出資者から流用を疑われた際、契約締結日を過去の日付に偽装した業務委託契約書を提出し、同契約に基づく送金であると主張したことに言及。 「連続的で悪質。事実上、私物化して意のままに費消した」と訴えました。 一方の弁護側は最終弁論で、「太陽光発電事業を進めるための報酬が、事業で設立した合同会社との契約に基づいて振り込まれただけ」だと述べ、無罪を主張しました。 双方の主張・立証を受け、東京地方裁判所は「出資金を無関係の使い道に流用すべく送金を行ったもので悪質」と元代表を非難。「使いみちを太陽光発電の開発に限定する合意があったのに、無関係の債務の弁済のために送金した。横領に当たることは明らかだ」と述べました。そのうえで、「自己の利益を図るための身勝手な犯行で動機に酌量すべき事情は乏しい」として、懲役6年の実刑判決を言い渡しました(求刑・懲役8年)。 無罪主張を続けてきた元代表らは控訴したということです。
 

業務上横領罪について

業務上横領とは、業務上自己の占有する他人の物を横領することで成立する犯罪で、違反すれば10年以下の懲役となります。構成要件は以下の4つです。 (1)業務上 運送業者・倉庫業者といった、委託を受けて物を管理する事務で専有する事務 (2)委託信任関係に基づく占有 顧客や会社などの他人から委託されていた財産。横領の対象物を事実上支配しているか (3)他人の物である 横領の対象物が犯人以外の者が所有している (4)横領 犯人が委託された任務に背いて、所有者でなければできないような行為をした(不法領得の意思の実現) なお、(4)の「横領」については、例えば、会社の所有物の売却や、借用品を返却しない行為など、本来所有者である会社のみが行うことができる行為を指します。
 

コメント

今回の判決を不服として、元代表は控訴しており、今後も裁判は続きます。「契約に基づき報酬が振り込まれた」として無罪を主張する元代表に東京高等裁判所はどういった判断を下すのか注目されます。
 

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