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副業など経験者が1.4倍に増加、副業導入時に事業者が確認したいポイントは?

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はじめに

複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を提供する株式会社Another worksが運営する調査機関『複業総合研究所』が2月5日、複業・副業に関する調査結果を公表しました。それによると、副業などを経験したことのある人の数が2023年と比べて約1.4倍に増加したということです。 2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表するなど、本業以外にも仕事をする働き方は、政府も推奨しています。 一方で、従業員が競合他社などで副業をすることも想定されるため、事業者は事前の対策が必要となっています。
 

本業以外で働く人が増加

今回、複業総合研究所が調査を行ったのは、副業・複業経験の有無についてです。 「副業」とは、本業の仕事のほかに、別の仕事をして収入を得る働き方を指し、サイドジョブと呼ぶ人もいます。一方で、「複業」とは、複数の仕事に並行して取り組む働き方をいい、パラレルキャリアとも呼ばれています。 両者の違いは、「副業」が軸となる本業の空き時間に付加的に行われるのに対し、「複業」は複数の本業を並列して行う点にあります。 今回の調査結果によると、副業などの「経験あり」と回答したのは46.7%でした。これは、同社が2023年に行った結果と比べ、約1.4倍に増加しています。また副業などを行う目的については「自由に使えるお金を増やすため」が最多で69%、次いで「収入減を分散させ、リスクヘッジするため」が33%となりました。また、「スキルアップのため(29.3%)」及び「現職ではないことに挑戦するため(22.4%)」と、現在の自分自身の成長のために取り組んでいると回答した人も相当数みられました。 現在、副業などを行っていない人の中で2025年から取り組みたいと考えている人は約3割。その理由については、7割以上の人が「賃上げの見込みがないから」と回答しています。 2/9複業の日に向け「複業/副業の実態調査」を公開!複業経験者の割合が2年で1.4倍に増加、一方で2.5人に1人が「相場が分からない」と回答(株式会社Another works)
 

事業者が副業制度で注意すべきポイント

近年、厚生労働省のガイドラインにも、「副業などを認める方向とすることが適当である」旨が明記されるなど、複業・副業は国をあげて推奨している働き方です。 一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が2022年に公表した調査結果では、回答した企業275社のうち70.5%が、自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」(53.1%)または「認める予定」(17.5%)と答えています。 副業解禁の動きが2020年ごろから始まったことを考えると、そこから5年が経った2025年現在はさらに拡大していると推測されます。 一方で副業などを認めるにあたり、事業者側として、いくつか注意するべきポイントがあります。 (1)安全配慮義務 事業者は、労働者の安全や心身の健康を守るために配慮すべき義務を負っています。そのため、副業を認める際には、事前届出制とし、従業員の働き方を管理することが大切です。 また、「長時間労働などにより労務管理上の問題が生じる場合には、副業・兼業を禁止または制限することができる旨」、就業規則や労働契約などで定めておくが推奨されます。 (2)秘密保持義務、競業避止義務 副業は、現在進行形で就業中の従業員が他社で働くことを意味するため、どうしても、副業を通じて自社の営業秘密等が漏れるおそれがあります。 また、従業員が競合他社で副業し、その結果として、自社の競争を不利にするケースも想定されます。 ・自社の正当な利益を害する場合には、副業を禁止または制限することができる旨 ・副業で禁止される競業行為の範囲 などを就業規則等で明確にしておくことが重要です。 副業・兼業の促進に関するガイドライン(厚生労働省)
 

コメント

近年の物価高騰や、国をあげての「自律的なキャリア形成」の推奨、タイミーをはじめとする、いわゆる“隙間バイト紹介サービス”の発展なども追い風となり、今後、従業員が自社以外の会社と働く動きは広まっていくと想定されます。 その場合、労働時間の管理や従業員の健康管理など、会社側で管理すべき事項も増えることになります。 どのような条件下で副業を認めるのか、どのような手続きを経るのか、副業先との労働時間の共有をどのように行うのかなど、きめ細やかなルール決めが必要になります。
 

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