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ジャパンライフ株式会社が3か月の業務停止処分

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1 事案の概要

 家庭用の磁気治療器などを販売する「ジャパンライフ株式会社」(東京・千代田区)に対して業者が勧誘の際に十分な説明をしておらず、特定商取引法違反及び預託法違反にあたる行為があったとして、消費者庁は17日から業務停止3か月の処分を出しました。
 ジャパンライフ株式会社は磁石の入ったベストを1着100万円以上での販売事業や売った商品を預かり別の人にレンタルする事業を展開していました。
ジャパンライフ株式会社ホームページ

2 特定商取引法について

(1)特定商取引法とは
 特定商取引法とは、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とした法律です。
特定商取引法(消費者庁)
特定商取引法(条文)(PDF)
(2)特定商取引法の対象となる取引類型
 特定商取引法の対象となる取引類型は、①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引、⑤特定継続的役務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入の7類型です。
 ここでは、文字面だけではややわかりづらい④⑤⑥の類型について説明します。 
④連鎖販売取引
 個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う取引のことを指します。
⑤特定継続的役務提供
 長期・継続的な役務の提供とこれに対する高額の対価を約する取引のことを指します。具体的には、エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6つが対象とされています。
⑥業務提供誘引販売取引
 「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のことを指します。
(3)行政規制
 特定商取引法は、事業者に対して消費者への適正な情報提供等の観点から各取引類型に応じて規制を行っています。そして、その規制に違反する行為は、業務改善の指示や業務停止命令などの行政処分または罰則の対象となります。
 以下では代表的な規制についてご説明します。(取引類型に応じた詳しい規制については特定商取引法ガイドをご参照ください。)
①氏名等の明示の義務付け
 事業者に対して勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けています。
②不当な勧誘行為の禁止
 価格・支払い条件等についての不実告知(虚偽の説明)又は故意に告知しないことを禁止したり、消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為を禁止しています。
③広告規制
 事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また虚偽・誇大な広告を禁止しています。
④書面交付義務
 契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けています。

3 預託法(特定商品等の預託等取引契約に関する法律)について

 預託法は、事業者が消費者に対して3か月以上の期間、対象の物品を預かること又は施設利用権を管理すること及び対応する利益の供与又は一定の価格での買い取りを約束し、消費者がこれに応じ物品を預け又は施設利用権を管理させることを約束する取引を規制します。
特定商品等の預託等取引契約に関する法律(預託法)の概要(PDF)
預託法(条文)(PDF)
【行政規制】
 事業者が①~③の規定に違反する行為をした場合には業務停止命令を受けます。
①不当な行為の禁止(預託法5条)
 不当な行為の禁止、重要事項(価額、商品の保有状況等)について不実告知(虚偽説明)や故意の不告知、威迫困惑行為、債務の不履行・不当遅延等を禁止しています。
②書面交付(預託法3条)
 契約締結前に取引の概要及び財産の状況を記載した書面の交付、契約締結時に契約の内容及びその履行に関する事項を記載した書面の交付を義務づけています。
 この規定に違反した場合には、事業者は、50万円以下の罰金を払わなければなりません。
③書類の閲覧(預託法6条)
 業務・財産状況を記載した書類を事務所に備え置き、預託者の求めに応じ閲覧させることを義務づけています。
 この規定に違反した場合には、事業者は、50万円以下の罰金を払わなければなりません。

4 コメント

 特定商取引法や預託法の行政規制に違反した行為は、業務改善の指示や業務停止命令などの行政処分又は罰則の対象となります。そして、業務停止命令などを受ければ、事業を行えない期間が発生し、事業者としてはかなりの打撃となります。
 したがって、法務担当者は、特定商取引法及び預託法で規制されている類型について確認し、自社の事業行為が規制行為にあたらないか確かめるべきです。
 また、法務担当者が調べても規制行為かが分からない場合には各経済産業局へ問い合わせると良いと思います。
事業者の方からのご相談・法解釈に関するご質問
 さらに、法務担当者のみが規制行為にあたるか認識していても自社全体で認識していなければ意味をなさないので、営業担当や広報担当などと連携を取るシステム作りが重要となります(新しい事業行為を試す場合には法務担当者に報告する制度など)。


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