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親子上場についてのまとめ

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1 はじめに

 企業は、子会社と共に上場するという親子上場という形態を取ることがあります。以下では親子上場についてのメリット・デメリット等についての情報をまとめてみました。

2 親子上場とは

 親子上場とは、親会社と子会社が共に上場していることを指します。
 日本は親子上場している会社が多い国です。例えば、ソフトバンクとヤフー、日立グループ、NTTとNTTドコモ、キヤノンとキヤノンマーケティングなど有名企業が多く親子上場しています。
親子上場の問題(その1)
親子上場とは

3 親子上場のメリット

①親会社の立場からのメリット
 ・子会社の株式を売却することによる資金調達
 ・子会社の株式の価値の増加
 ・子会社が独立した上場会社になることにより資金的・人的負担の軽減

②子会社の立場からのメリット
 ・親会社からの独立することにより、経営の自由度が増す
 ・独自のインセンティブ制度の採用による従業員のモチベーション向上
親子上場の良い点
Vol.12 「子会社上場」についての問題点

4 親子上場のデメリット

①親会社の立場からのデメリット
 ・子会社の経営権が弱まる
 ・子会社の上場による情報開示

②子会社の立場からのデメリット
 ・親会社への依存度低下による営業力の低下・事務コストの負担増
 ・親会社がグループ全体の利益を最優先する場合、子会社の犠牲の下に自己の利益を追求し、その結果として子会社の少数株主の利益が害されるという利益相反の問題が生じる可能性
  この点について、東京証券取引所は、「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」という文書を出しています。以下一部をご紹介します。
 「子会社上場には独自の弊害があることが指摘されています。例えば、親会社と子会社の他の株主の間には潜在的な利益相反の関係があると考えられますので、親会社により不利な事業調整や不利な条件による取引等を強いられる、資金需要のある親会社が子会社から調達資金を吸い上げる、上場後短期間で非公開化するなど、子会社の株主の権利や利益を損なう企業行動がとられるおそれが指摘されています。」
親子上場の問題点

5 近年の親子上場の動向

 日本は親子上場が多い国ですが、近年の親子上場の動向としましては減少傾向にあります。
親子上場(デロイト トーマツ)
【事例分析】親子上場会社(孫会社含む)(平成26年4月調査)
LINEに見る親子上場 過去にはどんな事例が?

6 子会社上場と審査上の問題点

 子会社が上場する場合に一番問題となるのは、親会社からの独立性です。たとえ子会社が上場企業になったとしても、親会社が株式の過半数以上を保有しているため、子会社の経営陣や残りの少数株主の意見が取り入れられない可能性が高いからです。
 そこで証券取引所は少数株主となる一般投資家を保護するために、以下のような子会社上場に係る上場審査の基準を設けています。
①上場申請会社(上場しようとする子会社)または親会社などが、どちらか一方の不利益となる取引を強制、または誘引していないこと。
②上場申請会社(上場しようとする子会社)と親会社などが、グ ループ外の第三者と取り引きを行う際の条件と異なり、著しく優位または不利な条件で取りき引を行なっていないこと。
③上場申請会社(上場しようとする子会社)が事実上、親会社等の一業部門と認められる状況にないこと。

Vol.12 「子会社上場」についての問題点(子会社上場と審査上の問題点)

2016 新規上場ガイドブック Ⅲ 上場審査の内容 63~67頁 (PDF)


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