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海外知財訴訟費用支援制度の手続概要と改訂

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はじめに

経済産業省特許庁は4月24日、中小企業の海外企業活動を支援する制度である海外知財訴訟費用保険制度についての改訂を発表しました。今回は制度の概略・手続についてと改訂内容について見ていきます。
海外知財訴訟費用保険制度が拡大されます!(経済産業省)

海外知財訴訟費用保険制度とは

海外知財訴訟費用保険制度は特許庁が平成28年度に、アジア地域において中小企業が知財紛争に巻き込まれた場合の支援策の一つとして創設したもので、保険金掛金の補助を内容としています。今回の制度拡大には、適用対象地域の拡大、プランや引受会社の追加等があります。

制度の概要と手続

●加入者(中小企業)-運営団体-引受保険会社
制度の大枠としてはまず国が運営団体に補助金を交付します。そして、加入者である中小企業が運営団体に保険料の1/2を払込すると、運営団体が引受保険会社に補助金と合わせて保険料を支払うというシステムです。中小企業が保険料の支払負担を軽減できることで中小企業の訴訟リスク予防を容易にし、海外進出を支援するのが目的です。運営団体は日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の3団体が、また保険の引受会社は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、今回の制度改訂で追加された三井住友海上火災保険株式会社の3社です。
●加入依頼書、中小企業確認書類の提出
加入には加入依頼書の提出が必要になります。取扱代理店(募集代理店)を通して引受保険会社に提出します。また、この制度は中小企業の海外進出支援を目的としているため、適用対象も中小企業のみとなります。そのため、加入依頼書の提出と同時に加入予定者が中小企業に該当することを確認できる書類の提出が求められます。具体的には中小企業知的財産活動支援事業費補助金(海外知財侵害訴訟保険事業)間接補助金交付申請書・確認書・請求書補助金の利用に関する確認書の提出が必要です。
●保険期間、加入のタイミングについて
中小企業に該当し期間内に必要な手続を済ませれば、特許庁から保険料の補助が受けられます。ただし、補助金の助成枠が上限に達した場合には保険料の補助は打ち切られるので注意が必要です。
保険期間は1年間(7月1日~6月30日)となっています。基本的には7月1日までには加入手続きを済ませてしまうのがベストです。ただし、2月1日付加入分までは中途加入も可能です。
全国中小企業団体中央会

今回の制度改訂

●適用対象地域の拡大
従来までの制度では保険の適用対象地域がアジアに限定されていましたが、アジア地域以外への地域拡大への要望が強い状況がありました。今回の制度改訂では平成29年7月1日から日本・北朝鮮を除く全世界に拡大し、保険対象地域を選択できるようになりました。例えば、アメリカでは特許侵害訴訟が起こされる可能性・訴訟費用が多額に及ぶ可能性が高いために中小企業には進出しづらい状況でした。今回の制度改訂はこのような海外進出へのハードルを下げる可能性を秘めています。
●保険金支払限度額のプランの追加
保険金支払い限度額については、従来は500万円と1000万円のみでした。ユーザーからのプラン拡大の要望を受け、今回の制度改訂では、3000万円と5000万円のプランが追加されました。
●引受保険会社の追加
引受保険会社に三井住友海上火災保険株式会社が引受保険会社に追加されたのも制度改訂の一つです。
ブランシェ国際知的財産事務所
保険市場TIMES


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