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高額な役員報酬について

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1.はじめに

11月19日、日産自動車代表取締役のカルロス・ゴーン氏が逮捕されたことを受け、同氏が多額の役員報酬を受け取っていたことが話題となっています。このように、企業は多額の役員報酬を設けることは許されるのか、またこれを減額することができるのか、以下、説明して行きたいと思います。

2.役員報酬とは

労働の対価として与えられる給与とは別に、取締役や監査役といった役員に対して定期定額で支払われるもののことをいいます。役員報酬は定款または株式総会決議で決定されます。一度決定されると、契約内容が確定し、契約当事者である企業と役員を拘束するものとなり、原則、減額も増額もできません。また、役員報酬に上限はなく、株主総会等で決定さえされれば、自由に金額を決めることが可能です。例外として、役員本人の同意がある場合にのみ、減額等、役員報酬の変更が認められます。

3.減額について

上記内容より、一度契約内容として確定された役員報酬は、どんなに高額でも後から株主総会等で変更することはできません。これは、本人の同意が無い限り、いかなる場合でも変更することはできず、役員の任期途中の一方的な減額はできないし、たとえ、役員の職務内容が変わったり、企業の業績が悪化して財政難になったとしても減額はできません。

4. コメント

企業の法務部員は、一度決定された役員報酬につき、役員本人の同意が無い限り、変更はどんな場合にも認められないということを念頭においておくべきであると考えます。本人の同意無く、役員報酬が減額されるような事態が生じたら、コンプライアンスの問題として監査役に報告するなどの対応が考えられます。また、役員報酬につき税務調査が入る場合があり、その際には、株主総会の議事録の提出を求められることがあります。なので、法務部員は、コーポレート法務の一環として、株主総会の議事録を作成・保管を徹底し、さらに保管については、すぐに議事録をとりだせるようにするなど、管理の仕方に工夫するとよいかもしれません。


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