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ロート製薬のステマ行為に消費者庁から措置命令(景品表示法)

はじめに

製薬会社のロート製薬株式会社が景品表示法に違反する行為であるステルスマーケティングを行っていたとして、消費者庁が3月25日に再発防止を求める措置命令を出しました。 過去には、他の企業でも、ステルスマーケティング行為を理由として措置命令が出されたことがありました。過去の事例についても、後半でご紹介します。
 

“PR”表示なく投稿転載

消費者庁の発表によると、今回、措置の対象となったのはロート製薬が販売するサプリメント「ロートV5アクトビジョンa」での広告です。 ロート製薬は、自社サイトで募集したモニターに対し、商品のサプリメント1袋(5,400円相当)を無償で提供し、その上で口コミ投稿を行うよう依頼しました。さらに、サプリメントの画像と共に飲みやすさなどの説明コメントをつけた投稿をインスタグラム上で行うよう依頼したといいます。 その後、ロート製薬は2024年6月から7月末にかけて、そのモニターらが投稿した画像を自社サイトに転載していたということです。 しかし、サイトでは“PR”など、ロート製薬が依頼した投稿である表記がなく、一般消費者にとって事業者の表示であると判別することが困難になっていました。 消費者庁は、こうした表示がステルスマーケティングにあたるとして、ロート製薬に対し、景品表示法に基づき再発防止などを求める措置命令を出しました。 ロート製薬は今回の措置を受けてコメントを発表。「今回の措置命令を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります。消費者庁に指摘されたWEB広告につきましては、速やかに削除・修正しております」と陳謝しました。
 

ステルスマーケティングとは

ステルスマーケティングとは、「広告であるにも関わらず、広告であることを隠して宣伝を行う行為」のことを指します。 企業に依頼されたインフルエンサーが、ある商品の購入者であるかのように装い、第三者として体験談や口コミを投稿し、商品の購買を促進するなどの事例が確認されています。 違反が認められた場合、措置命令(景表法第7条)の対象となり、さらに措置命令に従わなかった場合には刑事罰(景表法第36条等)が科されることになります。 2024年11月には、製薬会社大手の大正製薬株式会社においてステルスマーケティングがあったとして、消費者庁が景品表示法違反に基づく再発防止の措置命令を出しています。 大正製薬はインフルエンサー3人に報酬を支払ったうえで、同社のサプリメント商品について、インスタグラムで投稿するよう、広告代理店を通じて依頼。報酬としてインフルエンサーに対して約1万円を支払い、商品一箱(通常価格約3万円)を提供していたということです。 その後、大正製薬は同社のウェブサイト上でインフルエンサーらの投稿内容を転載し、商品をアピール。しかしインフルエンサーの投稿内容を転載する際、投稿がPR投稿であった旨の記載をしていなかったということです。 消費者庁は「第三者に対して依頼した投稿であることを明らかにしていない」として景品表示法に基づき再発防止などを命じる措置命令を出しています。 大正製薬がインフルエンサーを利用したステマで再発防止措置命令(企業法務ナビ)
 

コメント

インスタグラム投稿を用いた手口が多く見られるステルスマーケティング。中には、企業側が意図せず、ステルスマーケティングを行ってしまっている事例も見られます。 インスタグラムでは、ブランドコンテンツ機能の「タイアップ投稿」という表示を用いることで、投稿者と投稿で言及されている商品やサービスの提供元企業がビジネス協業関係にあることを明示することができます。 プロモーション施策として、インスタグラム投稿を活用する場合には、こうした設定を行うことが推奨されます。 また、景品表示法のルールを社内で共有し、違反しやすいポイントなどを解説しながら理解を深めてもらうことも大切です。その上で広告にステルスマーケティングなどの問題がないかを確認する体制づくりも有効な対策といえます。
 
【参考】ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁)
 

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