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ジー・スリーホールディングスに有価証券報告書等の虚偽記載で課徴金納付命令勧告

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はじめに

証券取引等監視委員会は、2022年4月26日、株式会社ジー・スリーホールディングスが行った有価証券報告書等の虚偽記載に関し、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、4605万円の課徴金納付命令(金融庁設置法第20条第1項)発出の勧告を行いました。これに対し、ジー・スリーホールディングスは同勧告について新たな情報を公表しています。同社は、2022年2月18日に、過年度の有価証券報告書及び四半期報告書について虚偽記載との指摘を受けたことに関し訂正報告書を提出たと発表していましたが、これを受けて今回の勧告が行われた形になります。本記事では、課徴金納付命令勧告までの一連の流れを追っていきます。
 

■金融庁設置法第20条第1項 委員会は、金融商品取引法、投資信託及び投資法人に関する法律、預金保険法、資産の流動化に関する法律、金融サービスの提供に関する法律、社債、株式等の振替に関する法律又は犯罪による収益の移転防止に関する法律(これらの法律に基づく命令を含む。)の規定に基づき、検査、報告若しくは資料の提出の命令、質問若しくは意見の徴取又は犯則事件の調査(次条において「証券取引検査等」という。)を行った場合において、必要があると認めるときは、その結果に基づき、金融商品取引の公正を確保するため、又は投資者の保護その他の公益を確保するため行うべき行政処分その他の措置について内閣総理大臣及び長官に勧告することができる。

 
 

事案の概要

ジー・スリーホールディングスは資本金10億円以上の巨大企業であり、株式会社エコ・テクノサービス、株式会社ジー・スリーファクトリーをグループ会社に持っています。証券取引等監視委員会からは、以下の法令違反の事実が指摘されています。
 
1.継続開示書類への虚偽記載 ジー・スリーホールディングスが平成29年7月から令和2年1月にかけて関東財務局長に対し提出した有価証券報告書および四半期四半期報告書につき、売上の前倒し計上及び売上の架空計上等の不適正な会計処理が反映されており、金融商品取引法第172 条の4第1項および第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」が認められたとのことです。 2.記載すべき重要な事項の記載が欠けた有価証券報告書の提出 ジー・スリーホールディングスは同社の実質的な主要株主であり役員に準ずる者が議決権の過半数を所有している会社との取引を、「関連当事者との取引(“連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則”第15条の4の2第1項)」として処理し、連結財務諸表への注記を行わなかったそうです。その結果、令和2年11月に、「記載すべき重要な事項の記載が欠けている(金融商品取引法第172条の4第1項)」有価証券報告書を関東財務局長に対し提出したとされています。 3.「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(株券の募集)の提出 ジー・スリーホールディングスは、1.の虚偽記載のある有価証券報告書(令和元年8月期)および四半期報告書(令和元年11月第1四半期)を組込情報とする有価証券届出書(株券の募集)を関東財務局長に対し提出し、これが「重要な事項につき虚偽の記載(金融商品取引法第172条の2第1項)」のある有価証券届出書の提出を構成したとされています。
 

ジー・スリーホールディングスの今後の対応

ジー・スリーホールディングスは公表した資料の中で、証券取引等監視委員会から勧告が行われたことを真摯に受け止めること、金融庁から正式な通知を受領次第速やかに必要な措置を講じること、その内容についてお知らせすることを明記しています。なお、同社は2022年8月期第1四半期に不適切な会計に係る費用として500百万円をすでに特別損失として計上済です。
 

コメント

今回の証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告は、金融庁設置法第20条第1項に基づく措置であり、今後、金融庁からの正式な通知が待たれます。有価証券報告書等の重要書類の誤りは株主を含む多くのステークホルダーの信頼を損なう恐れがある重大なミスです。企業には不適切な会計処理を防ぐためのガバナンス強化が求められています。
 

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