出向命令の法律問題
はじめに 出向は,企業の人事の一環としてなされる上,企業の経営に深く関係することであるため,企業が従業員に対し自由に命じることが出来るように思われる。しかし,出向は従業員の生活に大きな不利益を及ぼし得るものであるため,無条件にできるものではない。今回は,適法な出向を命じるために乗り越えるべき法律の壁について説明する。 出向とは...
View Article液化天然ガス取引について公取委が調査、仕向地制限条項とは
はじめに 液化天然ガス(LNG)の取引に通常盛り込まれている仕向地制限条項が独禁法に抵触する可能性が有るとして、現在、公取委が調査を行っております。違法と判断された場合、国内で約67兆円規模の契約に影響を及ぼすことになります。今回は仕向地制限条項とその独禁法上の問題点について見ていきます。 仕向地制限条項とは...
View Articleオワハラの法的問題点とは
はじめに 近年、就活時期の後ろ倒しや、就活市場の売り手市場化などを原因として、オワハラと呼ばれる企業による囲い込みがより活発化してきています。このオワハラに含まれる企業の法的リスクは何なのでしょうか。 オワハラとは...
View Article労基署が千葉県立病院に立ち入り調査、当直勤務に必要な許可について
はじめに 日経新聞電子版は21日、千葉県立の6病院で労働基準監督署の許可を取ることなく医師を夜間、休日の当直勤務をさせている旨報じました。千葉労基署はこれらの病院の一部について立入検査を実施しました。従業員に深夜・休日の当直勤務に就かせる場合には労働基準法上、労働基準監督署長の許可を要します。今回は許可要件等を概観していきます。 事案の概要...
View Article逆パワハラと企業の対策について
企業の皆様にとって、パワハラ対策は軽視することができない問題です。パワハラというと、 「部下を他の従業員の前で怒鳴りつける」や、 「就業時間間際に膨大な作業を押し付ける」、 「過剰なノルマをを課す」といった、 上司から部下に行われるというイメージが強いかと思います。 ですが、最近は部下から上司へのパワハラいわゆる逆パワハラが増えているそうです。...
View Article【法務NAVIまとめ】首都高ローリー横転事故にみる破産手続の債権者対応まとめ
はじめに 首都高での事故ををきっかけとして巨額の賠償責任を負った運送業者が破産しました。本件を題材として、破産手続開始決定の通知書が送られてきた場合の社内対応の要点を確認します。使用者責任の点については、過去記事をご参照ください。 参照 弊社サイト 企業法務ナビ 事案の概要(過去記事より抜粋)...
View Article富士フィルムが化粧品特許訴訟で敗訴、特許無効とは
はじめに 化粧品会社ディーエイチシー(DHC)が製造販売する一部の製品について、自社の特許権を侵害するとして、富士フィルムが製造販売の差止と約1億円の賠償を求めていた訴訟で30日、東京地裁は「富士フィルムの特許は無効であり特許権侵害はない」との判決を言い渡しました。本件訴訟に関しDHCは、特許無効の抗弁と特許庁への特許無効審判申立を行っておりました。今回は特許無効について概観します。 事件の概要...
View Article【法務NAVIまとめ】企業におけるストレスチェック義務
平成27(2015)年に改正された労働安全衛生法により、企業に労働者のストレスチェックをする義務が課せられるようになりました。 そこで、企業におけるストレスチェック義務をまとめました。 対象 対象となるのは従業員50人以上の事業場です。企業ごとではなく、事業場ごととなります。 また、従業員50人以下の事業場では、当分の間、努力義務となります。 [PDF]厚労省・労働安全衛生法が改正されます...
View Article「ブラックバイト」と言われないために――学生バイトの注意点
◆はじめに◆ 学生アルバイトの賃金や待遇について滋賀労働局に寄せられる相談が増えています。 今年4~7月の相談件数は前年同期のほぼ2倍で推移しています。 増加の背景には、近年、アルバイトの労働者の酷使が「ブラックバイト」として、社会問題化され注目され始めたことが考えられます。 相談を基に、滋賀労働局が労働基準法などの法令違反で是正指導した事例では、賃金や労働時間に関する指導が多い結果となりました。...
View Articleコンビニ元店長遺族が逆転勝訴、過労自殺と労災認定について
はじめに 過重労働で自殺した元コンビニ店長の遺族が、労災を認めなかった国の処分を不服として取消を求めていた訴訟の控訴審で1日東京高裁は請求を棄却した一審を取消し、遺族勝訴の判決を言い渡しました。一審が否定した業務と自殺との因果関係を認めた形となります。以前にも取り上げました労災認定。今回は過労自殺の場合について見ていきます。 事件の概要...
View Article【法務NAVIまとめ】勤怠管理に関する法的トラブルまとめ
近年、勤怠管理は、多くの企業において重要視されている。実際、従業員の勤怠管理が充分でないと、業務の遂行が不効率になるおそれがある。そこで、勤怠管理のありかたについて、みてみたいと思う。 勤怠管理とは 勤怠管理とは、企業が従業員の出勤時間や退勤時間、欠勤状況、休暇の取得状況などを正確に把握し、法令や就業規則の遵守に関して管理することをいう。 勤怠管理と法務担当者の関係...
View Article自然災害と企業の賠償責任
1.はじめに 2016(平成28)年8月27日から29日にかけて日本に直撃した台風10号は、2016年9月1日現在、温帯低気圧に変わりましたが、各地に爪痕を残しました。この台風によって浸水や死亡等の痛ましい被害が発生しています。 台風といった自然災害によって、従業員やお客様に被害が生じた場合、企業は何らかの責任を負わなければならないのか、考えてみたいと思います。 2.自然災害と賠償責任の例...
View Article法務部員の副業としての法律業務と弁護士法72条
ここ最近、ベンチャー企業はもちろん、大手企業も続々と副業を解禁し、世の中をにぎわせている。この流れの中で、法務部員の方も、自社が副業を解禁したら、法律業務で培ったスキルを武器に副業をしてみたい、と考えるであろう。その一方で、自社以外の法律業務を行うことは、弁護士法72条に抵触するおそれがある。そこで、法務部員の副業が許されるかを検討し、今後の流れを探ってみたいと思う。...
View Article下請法違反でファミリーマートに勧告
はじめに コンビニ大手のファミリーマートが、売れ残った商品の代金を負担させるなどのいわゆる「下請けいじめ」を繰り返し、納入業者20社に対して合わせて6億5000万円を不当に支払わせていたとして、公正取引委員会から8月25日、勧告を受けました。そこで、今回は下請法について取り上げたいと思います。 事案の概要...
View Article企業間訴訟で活用が増加、証拠保全について
はじめに 日経新聞電子版は5日、特許侵害や企業秘密盗用などの企業間トラブルを巡り、訴訟に先立って「証拠保全」手続を利用するケースが増加している旨報じました。今年5月には三重県のサービス業の会社事務所に違法コピーのソフトを会社ぐるみで使用している疑いで証拠保全がなされ70台のPCの証拠調べがなされたとのことです。今回は証拠保全について概観します。 証拠保全とは...
View Article【築地移転】行政にはしごを外されたとき
第1.はじめに 平成28(2016)年8月31日、東京都の小池百合子知事は31日の記者会見で、11月7日に予定していた築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転延期を正式表明しました。 移転延期の是非はさておき、例えば11月の移転を前提に豊洲市場用に冷凍庫を新しくリース契約を締結していた卸売業者等は延期によって...
View Article50万回のはずが5千回で。優良誤認表示とは?
ショップジャパンを運営する会社がダイヤモンドの次に固いとされる物質で加工されたフライパンをTVで販売する際、金属製品で50万回擦っても傷がつかないような表示をしたが実際には5千回で傷がついてしまった。そこで消費者庁は当該表示が優良誤認表示に当たるとして措置命令を行った。それでは優良誤認表示とはそもそも何なのか見ていきたいと思う。 事案の概要...
View Article消費者裁判手続特例法が来月から施行、その概要について
はじめに 平成25年12月4日に成立した「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(消費者裁判手続特例法)がいよいよ10月1日に施行されます。個々の消費者の被害回復を目的とする本法は日本版クラスアクション制度とも呼ばれ注目を集めております。今回はその概要について見ていきます。 制度創設の経緯...
View Article【法務NAVIまとめ】ライセンス契約と倒産
<a href="コトバンク・通常実施権とは 1.はじめに ライセンス契約とは、自社が有する特許権や実用新案権等を他者に使用させることを許諾する契約をいいます。そして、特許等を有している側をライセンサー、特許の使用させてもらう側をライセンシーと呼びます。 他者の特許を使用して製品を作る、という形態は日本のみならず世界的にも良くあることです。...
View Article【法務NAVIまとめ】契約書における裁判管轄規定の意味
契約書における裁判管轄規定の意味 契約書の最後の方に書かれている、訴訟時の管轄裁判所。何気ない文章で一文程度で書かれているため、あまり気にかからないかもしれない。しかし、油断していると思わぬコストやリスクを背負うことになる。 一般的な管轄 1.管轄については民事訴訟法第4条から第22条に規定されている。一般的な管轄としては①普通裁判籍(4条)と②特別裁 判籍(5条)がある。...
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